少年事件における犯罪少年の終局的な処分はどうなるのか

少年法3条1項では、審判に付すべき少年として、犯罪少年(罪を犯した少年。1号)、触法少年(14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年。2号)、ぐ犯少年(将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年。3号)を掲記しています。

では、少年事件における犯罪少年(以下、単に「少年」といいます)の終局的な処分はどうなるのでしょうか。

家庭裁判所は、少年鑑別所による資質面の鑑別や家庭裁判所調査官(以下「調査官」といいます)による環境面の調査を踏まえて、終局的な処分として、少年に対し、保護処分決定(保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設への送致、少年院送致)だけでなく、不処分や審判不開始を決定することができます。

さらに、少年に刑事処分を科すのが相当な場合には、検察官送致決定をすることができます。

以下においては、家庭裁判所の事件の受理、調査官による調査、審判開始の検討、審判手続に触れた上、少年事件における少年の終局的な処分はどうなるのかについて説明することとします。

なお、下記の条文表記については、「少」は少年法、「規則」は少年審判規則を指します。

家庭裁判所の事件の受理

少年が事件を起こすと、警察官、検察官の捜査機関は捜査をします。

捜査機関は、捜査をした結果、犯罪の嫌疑やぐ犯を構成する事由がある限り、家庭裁判所に事件を送致しなければなりません(少41条・42条。全件送致主義)。

その送致を受け、家庭裁判所が事件を受理することになります。

これは、全ての少年事件を専門性のある家庭裁判所に取り扱わせ、少年の問題点の早期発見、適切な対応を図ろうとする趣旨に基づいています。

そして、事件送致の際、捜査機関から事件に関する参考資料が一括して送付されます(規則8条2項)。

調査官による調査

家庭裁判所が事件を受理すると、裁判官は、まず、捜査機関から送付された資料に基づき、少年が非行事実を行った蓋然性が認められるかどうかを調査(法律調査)します。

そして、これが認められた場合でも、直ちに審判が開かれるのではなく、裁判官は、事件について調査官に調査を命じます(少8条2項)。

調査官は、少年の性格や環境など、少年が再非行に及ぶ可能性があるかどうか等の調査(社会調査)を行います。

なお、家庭裁判所は、事件を受理し、少年の審判を円滑に進めたり、少年の処分を適切に決めるための検査を行ったりすることなどが必要な場合には、同行された少年、勾留に代わる観護措置をとられ又は逮捕された少年について、少年を少年鑑別所に送致し、一定期間そこに収容する観護措置の決定をすることができます。

審判開始の検討

裁判官は、調査官からの調査結果に基づく報告、観護措置がとられた事件については少年鑑別所での鑑別結果等も考慮した上、審判を開始するか否かを検討します。

家庭裁判所が審判を開始するためには、少年が非行事実を行った蓋然性とともに、要保護性(将来再び非行を行う可能性)が存在する蓋然性がなければなりません。

審判手続

職権主義

少年審判手続は、職権主義構造になっています。

裁判官は、捜査機関から送付されてきた資料に事前に目を通した上で審判に臨みます。

そして、裁判官は、少年審判の保護・教育的な手続の主宰者として、広範な裁量が認められるとともに積極的な役割が期待されています。

(刑事事件でいえば、裁判官、検察官、弁護人という三つの役割を同時に果たすというもの)

非公開の原則

少年審判は非公開で行われます(少22条2項)。

これは、未成熟な少年の情操を保護するとともに、公開によって少年の社会復帰が妨げられるのを防止することを主たる目的としています。

被害者等の少年審判の傍聴

少年が故意の犯罪行為により被害者を死傷させた事件や、業務上過失致死傷等、過失運転致死傷等に該当する事件において、被害者等から審判傍聴の申出がある場合には、家庭裁判所は、弁護士である付添人の意見を聴いた上、被害者等に傍聴を許すことができます(少22条の4・22条の5)。

少年審判

家庭裁判所による審判開始決定があると(少21条)、裁判官は、少年審判において、非行事実の審理を行い(規則29条の2)、その上で、要保護性について審理します。

なお、審判には、裁判官(規則28条1項)、書記官(同項)、調査官(同条2項)、少年(同25条2項)、少年の保護者(同項)のほか、検察官(少22条の2)や付添人(規則28条4項)が出席する場合もあります。

終局的な処分

不開始決定

家庭裁判所は、送致された事件につき、調査の結果、少年に非行事実を行った蓋然性が認められないか、要保護性が存在する蓋然性認められない場合には、審判不開始の決定をすることになります(少19条1項)。

不処分決定

家庭裁判所は、調査、審判の結果、少年が非行事実を行ったことが認定できない場合や、非行事実は認定できるものの少年に保護処分を行うまでの要保護性が認められない場合には、不処分決定をしなければなりません(少23条2項)。

保護処分決定

家庭裁判所は、調査、審判の結果、少年に要保護性が認められる場合には、保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設への送致、少年院送致のいずれかの保護処分に付す決定をします(少24条1項)。

検察官送致決定(逆送決定)

家庭裁判所は、その少年に対して保護処分ではなく、死刑、懲役又は禁錮に当たる事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を科すのが相当であると判断した場合には、決定により、事件を検察官に送致しなければなりません(少20条1項)。

実務では、少年が保護処分によってはもはや改善の見込みがない場合(保護不能)のほか、保護不能ではないが、事案の性質や社会への影響等から保護処分で対処するのが不相当な場合(保護不適)も、これに該当するとされています。

さらに、行為時点で16歳以上の少年が、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件については(例えば、殺人、傷害致死、危険運転致死、保護責任者遺棄致死、強盗致死など)、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときを除いて、逆送決定をしなければならないものとされています(少20条2項)。

これが原則逆送制度と呼ばれるものです。

まとめ

家庭裁判所は、少年に関する事件の送致を受けた場合、終局的な処分として、少年に対し、保護処分決定(保護観察、児童自立支援施設又は児童養護施設への送致、少年院送致)だけでなく、不処分や審判不開始の決定のほか、少年に刑事処分を科すのが相当との判断に至れば、検察官送致決定をすることができます。

非行を犯した少年について、少年院送致、保護観察を避けるためには、付添人活動の経験がある弁護士に相談・依頼するようにしましょう。

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