即決裁判とは?要件やメリット、デメリットについて解説

刑事裁判の中でもあまり知られていない即決裁判という手続きがあります。

今回は、即決裁判の内容・要件、メリット・デメリットについて解説してまいります。

即決裁判とは

即決裁判とは、簡単にいうと、通常の刑事裁判(正式裁判)に比べて、スピーディーに初回の公判期日を開き、原則としてその日に判決を行う手続きです。

即決裁判を開くには、検察官が起訴と同時に、裁判所に対して即決裁判手続の申立てを行わなければなりません。

具体的には、正式起訴で使用される起訴状に「下記被告事件につき公訴を提起し、即決裁判手続の申立てをする。」という文言を付して裁判所に申立てます。

即決裁判の要件

即決裁判の要件とは、すなわち、検察官が即決裁判を申立てできる要件のことです。

検察官が即決裁判を申立てできるのは、以下のすべての要件を満たした場合です。

  • ①:死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件以外
  • ②:事案が明白であり、かつ軽微である(諸情状から、懲役又は禁錮の執行猶予付き判決が見込まれる事案、罰金刑が見込まれる事案)
  • ③:証拠調べが速やかに終わると見込まれている
  • ④:②・③及びその他の事情を考慮し、即決裁判手続により審判することを相当と認めるときである
  • ⑤:被疑者が即決裁判手続に同意している
  • ⑥:被疑者に(国選・私選の)弁護人がいる場合、即決裁判手続によることについて弁護人が同意又はその意見を留保している

即決裁判の対象の罪

下記の罪は、即決裁判の対象となります。

  • 住居侵入罪
  • 建造物侵入罪
  • 公然わいせつ罪
  • 傷害罪
  • 暴行罪
  • 傷害罪
  • 脅迫罪
  • 強要罪
  • 窃盗罪
  • 詐欺罪
  • 恐喝罪
  • 横領罪
  • 器物損壊罪
  • 大麻の単純所持罪
  • 覚せい剤の単純使用・所持罪などの薬物犯をはじめとする特別法犯

※事案が明白であり、かつ軽微である場合がは対象外です。

即決裁判の対象外の罪

重大事件や懲役、禁錮の実刑が見込まれる事案、証拠が多くなる複雑な事件被告人が事実の有無、犯罪の成否を争う事件即決裁判の対象外です。

  • 現住建造物等放火罪
  • 強制性交等罪
  • 強制わいせつ致死傷罪
  • 殺人罪
  • 傷害致死罪
  • 強盗罪
  • 強盗致死傷罪
  • 危険運転致死罪など

即決裁判のメリット・デメリット

即決裁判のメリット・デメリットは以下のとおりです。

即決裁判のメリット

即決裁判には3つのメリットがあります。

①手続きがスピーディー進められる

即決裁判の第一のメリットは、スピーディーに手続きが進められるという点です。

まず、通常の刑事裁判では、起訴されてから初回の公判期日が開かれるまではやくても1か月前後はかかります。

一方、即決裁判では「できる限り、起訴されてから14日以内に初回の公判期日を定めなければならない」とはっきり規則に明記されています(刑事訴訟法350条の21、刑事訴訟法規則222条の17)。

判決についても「できる限り、初回の公判期日に言い渡さなければならない」と法律に明記されています(刑事訴訟法350条の28)。

「できる限り」とされていますが、多くの場合、起訴されてから14日以内に初回の公判期日が入り、その日に判決が言い渡されています

②執行猶予が付く

即決裁判の第二のメリットは、判決で懲役又は禁錮の刑を言い渡される場合、必ず執行猶予が付くという点です。

通常の刑事裁判では、判決を言い渡されるまで実刑か執行猶予かは分かりません。

たとえ弁護人から「執行猶予の可能性が高いです」と言われた場合でも、実刑か執行猶予を決めるのは裁判官ですから安心はできません。

一方、即決裁判では「懲役、禁錮の刑を言い渡す場合は、必ず(全部の)執行猶予付きの判決を言い渡しなさい」と法律に明記されています(刑事訴訟法350条の29)。

極端な話、裁判官が「実刑にしたい」と思ってもできません。裁判を受ける前から執行猶予が分かっているのは、精神的な負担の軽減にもつながります

③早期に釈放される

即決裁判の第三のメリットは、早期に釈放されるという点です。

即決裁判申立ての対象となるのは、基本的に逮捕→勾留されている身柄事件です。

身柄を拘束されていない在宅事件では、手続きをスピーディーに進めるという即決裁判のメリットを感じることができないからです。

通常の刑事裁判だと、起訴されてから初回の公判期日がはやくて1か月後、判決はそれからはやくて2週間前後ということを考えると、保釈されない限り、1か月半前後は勾留が続きます(身柄拘束が継続します)。

一方、即決裁判では、前述のとおり、基本的に、起訴されてから14日以内に初回の公判期日が入り、その日に(懲役又は禁錮の)執行猶予付き判決、罰金の判決が言い渡されます。

執行猶予、罰金の判決の言い渡しがあると勾留の効力が失われ、その場で釈放されます

つまり、即決裁判では、起訴から遅くとも2週間以内には釈放される可能性があるということになります。

即決裁判のデメリット

即決裁判に2つのデメリットがあります。

①必ず有罪判決が下される

即決裁判の第一のデメリットは、必ず有罪判決を言い渡されるという点です。

執行猶予付き判決、罰金の判決といえども有罪であることに変わりはありません。また、有罪ですから判決が確定すると前科がつきます。

「自分な無実だ、無罪だ」と考える場合は、即決裁判になじむ事件とはいえませんから、検察官から同意を求められとしても同意してはいけません

②誤った事実であっても控訴できない

即決裁判の第二のデメリットは、事実誤認を理由とする控訴ができないという点です。

即決裁判は事実の有無、犯罪の成否を争わない事件を対象とします。

仮に、こうした事件まで即決裁判の対象としてしまうと裁判が長期化し、手続きをスピーディーに進めるという即決裁判の本来の趣旨が没却してしまいます。

控訴は被告人の権利ですが、前述のとおり、検察官が即決裁判を申立てるには被疑者あるいは弁護人の同意(又は留保の意見)が必要ですから、上記の制限を課しても問題ないと考えられています。

なお、量刑不当を理由に(刑の重さに不服があることを理由として)控訴することはできます。

まとめ

即決裁判は、身柄事件かつ以下の6つの要件を満たす場合には対象となります。

  1. 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件以外
  2. 事案が明白であり、かつ軽微である(諸情状から、懲役又は禁錮の執行猶予付き判決が見込まれる事案、罰金刑が見込まれる事案)
  3. 証拠調べが速やかに終わると見込まれている
  4. ②・③及びその他の事情を考慮し、即決裁判手続により審判することを相当と認めるときである
  5. 被疑者が即決裁判手続に同意している
  6. 被疑者に(国選・私選の)弁護人がいる場合、即決裁判手続によることについて弁護人が同意又はその意見を留保している

検察官から即決裁判を受けることに対する同意を求められた場合は、即決裁判のメリット、デメリットを踏まえ、同意するかどうかご自身で判断してください。

判断に迷う場合は、当事務所が全力でサポートしますので、お気軽にご相談ください。

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