窃盗罪における捜査状況、裁判結果はどのようなものか

窃盗罪は、その内容に様々なものがありますが、刑法犯、特別法犯の中で、統計上(平成29年)、捜査段階でも、裁判段階でも、事件数が最も多い状況にあります。

では、窃盗罪における捜査状況、裁判結果はどのようなものなのでしょうか。

逮捕率は3割ほどであり、逮捕されれば8割以上が勾留されているとはいえ、逮捕されない者も7割近くいます。

起訴率は約4割で、不起訴率が上回っているものの、実刑率は簡易裁判所で3割ほど、地方裁判所では5割を超えているのです。

以下においては、窃盗罪の内容、万引きと空き巣に見られる特色、窃盗罪を犯した場合の身柄状況、窃盗罪を犯した場合の起訴不起訴の処分状況、窃盗罪の科刑状況を概観した上、窃盗罪における捜査状況、裁判結果はどのようなものかについて、説明することとします。

窃盗罪の内容

窃盗罪は、他人の財物を窃取することによって成立する犯罪で、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(刑法235条)。

平成30年版犯罪白書(平成29年の統計。

以下「犯罪白書」といいます)によれば、窃盗罪の検挙件数の手口別(警察庁の統計)では、非侵入窃盗が69.1%、侵入窃盗が20.3%、乗り物盗が10.6%となっています。

非侵入窃盗で最も多いのが万引きで全体の36.8%、次が車上・部品ねらいで全体の8.2%、その次が置引きで全体の3.9%、さらにその次が自動販売機ねらいで全体の2.5%、侵入窃盗で最も多いのが空き巣で全体の6.8%、次が忍込みで全体の3.1%、その次が出店荒しで全体の2.6%、乗り物盗で最も多いのが自転車盗で全体の6.5%、次が自動車盗で全体の2.6%となっています。

万引きと空き巣に見られる特色

万引きの場合

万引きとは、スーパーやコンビニ、書店などの商店において、買い物客を装い、店員の見ていない隙に、売り場の商品をこっそり盗み取ることをいいます。

万引きで現行犯逮捕されなかった場合でも、後日万引きが発覚するのは、不自然な行動や怪しい動きを現認した店員、万引きGメン、警備員の情報、万引きを目撃した者からの通報、在庫商品の数と売り上げが一致していないことなどを受けて、防犯カメラの映像や監視カメラの画像をチェックしたところ、万引きの犯行を確認することができた場合です。

そのことから、被害店舗が被害届を提出して、警察の捜査が開始され、万引きの犯人(被疑者)が特定される(街中にある複数の監視カメラの追跡から、万引き犯が店を出た後の足取りを把握して特定される場合もあります)に至れば、後日、逮捕される場合もあるわけです。

万引きは、侵入窃盗、乗り物盗、車上・部品ねらい、置引き、自動販売機ねらい、ひったくり(全体の0.9%)などの他の窃盗の手口に比べ、一般的に、悪質性は低いと見られています。

空き巣の場合

空き巣は、家人がいない留守を狙って家屋内に侵入し、金銭等の財産を盗み取るものです。

そして、家屋内に侵入するのは、住居侵入罪にも当たります(刑法130条前段)。

空き巣は、盗みの七つ道具を携行して犯行を反復する事案も多く、不法に侵入された被害者だけでなく、付近住民に与える不安感は甚大で、悪質な犯行とされています。

窃盗罪を犯した場合の身柄状況

犯罪白書によれば、窃盗罪の身柄状況は下記のとおりです。

(逮捕関係)

総数(A) 逮捕されない者(B) 逮捕後釈放(C) 身柄付送致(B+C)÷A 検察庁で逮捕 身柄率
95,565 64,780(67.8%) 2,099(2.2%) 28,658(30.0%) 28(0.03%) (30.0%)

(勾留関係)

認容(D) 却下(E) 勾留請求率(D+E)÷(B+C)
26,139 662 93.4%

上記の数字からすれば、逮捕率は32.2%(30,785人)で、逮捕後釈放されている者もあって、総数(95,565人)のうち、勾留率は27.4%(26,139人)にすぎません。

このように、逮捕されれば84.9%の人が勾留されているとはいえ、そもそも、逮捕されない者は67.8%に上っているのです。

窃盗罪を犯した場合の起訴不起訴の処分状況

2017年検察統計年報(平成29年の統計)によれば、検察庁が窃盗罪で送致を受けた者の起訴不起訴の処分状況は、下記の表のとおりです。

総数 起訴
(起訴率)
(起訴で占める率) 不起訴
(不起訴率)
(不起訴で占める率)
公判請求 略式請求 起訴猶予 その他
74,770 29.790
(39.8%)
23,077
(77.5%)
6,713
(22.5%)
44,980
(60.2%)
34,855
(77.5%)
10,125
(22.5%)

上記の数字からすれば、起訴率は39.8%で、不起訴率が高いことが分かります。

窃盗罪の科刑状況

簡易裁判所の場合

犯罪白書によれば、簡易裁判所における科刑状況は、下記の表のとおりです。

総数(4,083) 実刑(実刑率)
1,280(31.3%)(実刑で占める率)
執行猶予
(執行猶予率)
量刑 2年以上
3年以下
1年以上
2年未満
6月以上
1年未満
6月未満 2,803
(68.7%)
人数 75
(5.9%)
818
(63.9%)
384
(30.0%)
3
(0.2%)

上記の数字からすれば、簡易裁判所では実刑率が31.3%執行猶予率が高いことが分かります。

地方裁判所の場合

犯罪白書によれば、地方裁判所における科刑状況は、下記の表のとおりです。

総数(10,472) 実刑(実刑率)
5,683(54.3%)(実刑で占める率)
執行猶予
(執行猶予率)
量刑 7年を超え
10年以下
5年を超え
7年以下
3年を超え
5年以下
2年以上
3年以下
1年以上
2年未満
6月以上
1年未満
6月未満 4,789
(45.7%)
人数 7
(0.1)
40
(0.7)
654
(11.5%)
1,896
(33.4%)
2,068
(36.4%)
1,004
(17.7%)
14
(0.2%)

上記の数字からすれば、地方裁判所では実刑率が54.3%と高いことが分かります。

量刑事情

窃盗罪の量刑では、犯罪事実そのものの情状を最も重視し、次いで、前科前歴の有無とその内容、被害回復(弁償)の有無、反省・更生の意欲と社会復帰後の保護環境などを考慮するのが一般的です。

犯罪事実そのものの情状とは、窃盗罪は財産犯ですから、被害額、その動機、犯行の方法・態様、計画性の有無、犯行準備の状況、常習性の有無ということになります。

まとめ

窃盗罪における捜査状況、裁判結果を見ますと、逮捕されない者が7割近くいるとはいえ、逮捕されれば8割以上が勾留されています。

また、起訴率は約4割ですが、実刑率は簡易裁判所で3割ほど、地方裁判所では5割を超えているのです。

窃盗を犯した場合には、早めに刑事弁護に精通している弁護士に相談・依頼するようにしましょう。

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