横領の罪では逮捕勾留、起訴不起訴や量刑はどのような状況か

横領の罪(以下では、横領罪、業務上横領罪、遺失物等横領罪の三つの罪を総称するものとします)の場合、その横領の態様・内容には様々なものがあります。

横領の罪では逮捕勾留、起訴不起訴や量刑はどのような状況になっているのでしょうか。

横領の罪では、統計上(平成29年)、逮捕率は11.75%勾留率は10.4%、横領罪の起訴率は34.4%、不起訴率は65.6%、業務上横領罪の起訴率は42.6%、不起訴率は57.4%、遺失物等横領罪の起訴率は11.0%、不起訴率は89.0%となっています。

このように、横領の罪では、身柄を拘束されない者が多く、また、起訴率・不起訴率は、横領の三つの罪の間でも違いが出ています。

また、横領の罪の量刑は、統計上(平成29年)、地方裁判所の実刑率が42.9%となっていて、逮捕率や起訴率に比べ、厳しい量刑となっています。

以下においては、横領の罪の成立要件、横領の罪の刑罰、横領の罪を犯した場合の身柄状況、横領の罪の起訴不起訴の処分状況、横領の罪の科刑状況を概観した上、横領の罪では逮捕勾留、起訴不起訴や量刑はどのような状況になっているのかについて、説明することとします。

横領の罪の成立要件

刑法は、横領の罪として、横領罪(刑法252条)、業務上横領罪(刑法253条)、遺失物等横領罪(刑法254条)の三つの類型を規定しています。

このうち、横領罪と業務上横領罪は、共に財物を委託された者が委託した者との信頼関係に背いてこれを領得する点に特徴があり、これを併せて委託物横領罪といっています。

これに対して、遺失物等横領罪は、このような信頼関係を前提としない点において委託物横領罪とは異なり、むしろ窃盗罪に類似する性格を有するといえます。

客体は、横領罪では、自己の占有する他人の物及び公務所から保管を命ぜられた自己の物、業務上横領罪では、業務上自己の占有する他人の物、遺失物等横領罪では、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物となっています。

また、横領の罪の行為は、いずれも横領することです。

横領の罪の刑罰

横領罪は5年以下の懲役に、業務上横領罪は10年以下の懲役に、遺失物等横領罪は1年以下の懲役、10万円以下の罰金又は科料に、それぞれ処せられます。

横領の罪を犯した場合の身柄状況

平成30年版犯罪白書(平成29年の統計。

以下「犯罪白書」といいます)によれば、横領の罪の身柄状況は下記のとおりです。

(逮捕関係)

総数(A) 逮捕されない者(B) 逮捕後釈放(C) 身柄付送致(B+C)÷A 検察庁で逮捕 身柄率
11,174 9,866(88.3%) 33(0.3%) 1,267(11.3%) 8(0.07%) (11.4%)

(勾留関係)

認容(D) 却下(E) 勾留請求率(D+E)÷(B+C)
1,163 21 92.9%

上記の数字からすれば、逮捕率は11.75%(1,308人)にすぎず、逮捕後釈放されている者もあり、総数(11,174人)のうち、勾留率は10.4%(1,163人)となっています。

このように見てきますと、逮捕されれば88.9%の人が勾留されているとはいえ、逮捕されない者は88.3%に上っているのです。

これは、横領の罪が本来誘惑的な犯罪であり、強制的に身体を拘束する必要性に乏しいためと考えられます。

横領の罪の起訴不起訴の処分状況

2017年検察統計年報(平成29年の統計)によれば、検察庁が横領罪(下記罪名欄①)、業務上横領罪(下記罪名欄➁)及び遺失物等横領罪(下記罪名欄➂)で送致を受けた者の起訴不起訴の処分状況は、下記の表のとおりです。

罪名 総数 起訴
(起訴率)
(起訴で占める率) 不起訴
(不起訴率)
(不起訴で占める率)
公判請求 略式請求 起訴猶予 その他
①横領罪 390 134
(34.4%)
134 256
(65.6%)
158
(61.7%)
98
(38.3%)
②業務上横領罪 1221 520
(42.6%)
520 701
(57.4%)
374
(53.4%)
327
(46.6%)
③遺失物等横領罪 6061 669
(11.0%)
373
(55.8%)
296
(44.2%)
5,392
(89.0%)
5,040
(93.5%)
352
(6.5%)

不起訴率は、刑が軽くなるに従い、高くなっていることが分かります。

委託物横領罪では、被害の回復が不起訴の決め手になるでしょうし、また、遺失物等横領罪では、持主の占有を離れている物が横領の客体という事情から、その不起訴率が高くなっているものと考えられます。

横領の罪の科刑状況

犯罪白書によれば、横領の罪の場合、地方裁判所における科刑状況は、下記の表のとおりです。

総数(480) 実刑(実刑率)
194(42.9%)(実刑で占める率)
罰金等:28
執行猶予
(執行猶予率)
量刑 5年を超え
7年以下
3年を超え
5年以下
2年以上
3年以下
1年以上
2年未満
6月以上
1年未満
6月未満 258
(57.1%)
人数 7
(0.4%)
26
(13.4%)
70
(36.1%)
27
(13.9%)
52
(26.8%)
12
(6.2%)

横領の罪の態様・内容には様々なものがあります。

しかも、信頼関係を前提とする委託物横領罪と、信頼関係を前提としない遺失物等横領罪との間には、犯罪の態様において大きな違いがあり、それは法定刑の差にも表れています。

委託物横領罪は、他人の物が自己の占有下にあり、また、遺失物等横領罪は持ち主の占有を離れているわけですから、犯罪を誘発されやすく、誘惑的であるという側面があります。

横領の罪の量刑は、上記のとおり、地方裁判所の実刑率が42.9%と、執行猶予率が57.1%となっていますが、その量刑事情としては、業務内容、信頼関係の度合い、被害額や財物の内容・価値、被害回復や被害弁償、示談成立の有無、前科の有無や内容が重視されるといえます。

金融機関の担当者及び会社の経理担当者の業務上横領罪は、被害金額が高額な場合が多く、厳しい量刑となっています。

まとめ

横領の罪では、身体拘束の割合が低く、また、不起訴率がそれなりに高いことが分かります。

横領の罪の量刑は、身柄状況や起訴不起訴の処分状況と対比して、実刑率が高いことがうかがえます。

横領の罪で逮捕された方は、早めに弁護士に相談するのが望ましいでしょう。

弁護士は、被害者との示談に尽力し、示談成立と被害者の宥恕が得られれば、不起訴処分、罰金(遺失物等横領罪の場合)、さらに公判請求されたとしても、執行猶予付き判決が期待できますし、仮に実刑となったとしても、刑期の軽減の可能性が高くなります。

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