刑事裁判と民事裁判との違い

裁判には大きく刑事裁判と民事裁判があります。

両者はどの点でどう違うのでしょうか?以下で詳しく解説してまいります。

刑事裁判とは

刑事裁判とは、罪に問われた人(被告人)が有罪か無罪か、有罪であるとしていかなる量刑(懲役●年、罰金●万円、、、実刑か執行猶予かなど)が適当かを決めるための裁判です。

刑事裁判は、「死刑、懲役、禁錮、罰金などあらゆる刑罰」を言い渡すことができる「正式裁判」と「100万円以下の罰金又は科料(千円以上一万円未満)」の命令しか出せない「略式裁判」の2種類があります。

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民事裁判とは

民事裁判とは、貸したお金を返して欲しい場合の借主に対する貸金返還請求権、交通事故の怪我をした・死亡した場合、不貞行為によって精神的苦痛を負った場合に賠償金の支払いを求める損害賠償請求権など、私たち(私人(法人も含む))に認められている法律上の権利を実現するための裁判です。

民事裁判は大きくわけて、上記の貸金返還、損害賠償などの私人間の紛争を取り扱う「通常訴訟」、手形・小切手金の支払いを求めることができる「手形小切手訴訟」、簡易迅速な手続により60万円以下の金銭の支払いを求めることができる「少額訴訟」があります。

刑事裁判と民事裁判の違い

刑事裁判と民事裁判の概要を把握していただいた上で、以下では両者の違いを細かく解説してまいります。

訴える人、訴えられる人(裁判の当事者)

刑事裁判訴える人(起訴する人)は一部の例外的な場合を除き「検察官」です。つまり、私人に訴える権限はありません。

また、訴えられる人は捜査機関により捜査を受け罪に問われている人、つまり被疑者です

被疑者は起訴されると被告人と呼ばれるようになります。

他方で、民事裁判は私人間の紛争を解決するための裁判ですから、訴える人も訴えられる人も私人です。

刑事裁判では「検察官VS被告人(弁護人)」、民事裁判では「私人VS私人」という構図となります。

手続きに適用される法律の内容

刑事裁判は主に「刑事訴訟法(及びその規則)」に定められている規定に従って手続きが進められていきます。

他方で、民事裁判は主に「民事訴訟法(及びその規則)」に定められている規定に従って手続きが進められていきます。

その他、刑事裁判では被告人がどんな罪に問われているか、民事裁判ではどんな権利を実現したいかなどによって適用される法律が違います(刑事裁判では主に「刑法」、民事裁判では「民法」が適用されることが多いです)。

裁判の目的

刑事裁判は、検察官が死刑、懲役、禁錮、罰金などの刑罰権を実現するために行わるものです。

刑事裁判で、裁判官から「懲役●年」(実刑)という判決が言い渡され、不服申し立て期間(2週間)を経ると刑事裁判が確定し、国民を刑務所に服役させること(懲役、禁錮の場合)などが可能となります。

他方で、民事裁判は、私人の権利実現のために行われるものです。

民事裁判が確定すると、損害賠償請求権の内容が確定し(損害賠償請求権の実現を目的とした場合)、仮に相手方が賠償金を支払わない場合は、相手方の財産を差押えることが可能となります。

裁判の手続き、制度

刑事裁判では、起訴権限がある検察官が「起訴状」という書面を裁判所に提出することで刑事裁判が始まります。

刑事裁判では、検察官の起訴状朗読等の「冒頭手続」から始まり、検察官や弁護人が証明しようとする事実に関する証拠(書証、物証、人証(※))を裁判所に提出するなどして判決へと至ります。

※書証、物証、人証
書証は書面による証拠、物証は物的証拠による証拠、人証は法廷における尋問による証拠のこと。

民事裁判でも、訴える人が「訴状」という書面を裁判所に提出して民事裁判が始まるという点、証明しようとする事実に関する証拠を裁判所へ提出するなどする点は刑事裁判と同じです。

しかし、刑事裁判と民事裁判は大きく次の3点で異なります。

裁判の途中で裁判を終わらせることができるか否か

民事裁判では、裁判の途中で原告自らが裁判を終わらせることができる「訴えの取下げ」、「請求の放棄」、被告自らが裁判を終わらせることができる「請求の認諾」の手段を取ることが認められています

民事裁判では、私人間の紛争については、基本的に私人間の自主的解決に委ねるという「私的自治の原則」が妥当するからです。

なお、請求の放棄とは、原告が自らの請求に理由がないことを認め裁判を終わらせること、請求の認諾とは、被告が原告の請求に理由があることを認め裁判を終わらせることをいいます。

他方で、刑事裁判では私的自治の原則が妥当しません

刑事裁判にも起訴を取り消す制度はありますが、検察官は自身の都合だけで起訴を取り消すことはできません

また、被告人が起訴された罪を認めているからといって、刑事裁判の途中で裁判を終わらせることもできません

つまり、刑事裁判の手続きは必ず判決で終結します。

立証の程度

刑事裁判では、「疑わしきは被告人の利益に」という言葉があるように、被告人に無罪推定の原則が働きます。

そのため、立証責任(挙証責任ともいいます)を負う検察官が、被告人が犯人であることなど被告人を有罪とするために必要な要件につき「合理的な疑いを差し挟む余地がない程度」にまで立証しなければなりません。

つまり、裁判所が少しでも疑いを差し挟む余地があった場合、被告人は無罪とされるということです。

前述のとおり、刑事裁判の最終目標は被告人に刑罰を科すことにあるところ、刑罰は重大な人権侵害をもたらすことから、その分、刑罰について責任を持つ検察官の立証のハードルを高くしたのです。

他方で、民事裁判では、刑事裁判ほど立証のハードルは高くありません

そのため、たとえば、名誉棄損罪で起訴された方が刑事裁判で無罪となったとしても、民事裁判における損害賠償請求訴訟では損害賠償金の支払いを命じられるなどということは珍しくありません。

和解の有無

民事裁判では和解の制度があります。民事裁判では前述した私的自治の原則が妥当するからです。

他方で、刑事裁判では和解の制度はありません。もっとも、刑事裁判でも、2018年(平成30年)6月1日から「司法取引」制度(※)が導入されています。

※司法取引
捜査機関に協力した見返りに、検察官が協力した人を不起訴としたり、裁判での求刑を軽くするもの。書面による弁護人の同意が必要。

まとめ

以上のとおり、刑事裁判と民事裁判は主に「訴える人、訴えられる人(裁判の当事者)」、「手続きに適用される法律の内容」、「裁判の目的」、「裁判の手続き、制度(立証の程度、和解の有無等)」で違いがあるといえます。

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