公然わいせつ罪とは?罪の重さや弁護のポイント
公然わいせつ罪という言葉は耳にすることがありますが、実際にはどういったことをするのが公然わいせつ罪となるのでしょうか?
自分がやってしまったことが公然わいせつ罪にあたるのか、不安に思われている方からお問い合わせをいただくこともあります。
この記事では、公然わいせつ罪とは何か?罪の重さや弁護のポイントについて解説していきます。
公然わいせつ罪とは?
公然わいせつ罪とは、不特定または多数の人が認識できる状態で、わいせつな行為を行うことです。
実際に不特定または多数の人がそこにいたわけでなくても、その可能性があれば不特定または多数の人が認識できる状態となります。
たとえば、不特定または多数の人が通る可能性のある路上や公園、コンビニなど店舗の駐車場などは、そのときには人がいなかったとしても、不特定または多数の人から認識される可能性があります。
わいせつな行為とは、性欲を刺激・興奮させ、人の性的な羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものとされており、たとえば性器を露出したり、性交や自慰を行うなどのことです。
インターネット上の動画や配信において性器を露出した場合なども公然わいせつにあたる可能性があります。
なお、公共の場で性器以外の身体の一部、たとえばおしりや太ももなどを露出した場合、公然わいせつ罪に該当しなくても、軽犯罪が成立する場合もあります。
公然わいせつ罪の罪の重さはどのくらい?
公然わいせつ罪の罪の重さはどのくらいなのでしょうか。
6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留(1日以上30日未満)もしくは科料(1,000円以上1万円未満)と定められています。
公然わいせつは、被害者に対して直接接触しているほかの性犯罪に比べると刑罰は重くありません。
初犯であれば不起訴となる可能性も十分にあります。
しかし同じ場所で何度も繰り返すようなケースでは余罪が複数あることを理由に、初犯でも起訴される可能性もあります。
公然わいせつ罪の弁護のポイント
<罪を認めている場合>
①専門の医療機関の受診
公然わいせつ罪の場合には、何度も性器を露出するなど、性的な嗜好が関わっていることが少なくありません。
再犯を防止するため、専門の医療機関に通院し治療することをおすすめします。
治療の状況などを検察官や裁判官に報告することで、不起訴処分や、執行猶予付きの判決を出してもらえるよう働きかけます。
②家族のサポート
ご家族のサポートも重要になります。
今後、また同じようなことを起こさないよう、本人を監督するという誓約書や、実際にどのように監督するかといった内容の書面を作成し、検察官や裁判官に提出します。
③実質的な被害者との示談
公然わいせつ罪は、社会の健全な性的秩序を保護するということが目的になっているため、他の性犯罪と違い、ある特定の人が被害者となるケースはなく、法的に被害者という立場にあたる人はいません。
しかし、公然わいせつの目撃者は、実質的に被害者と同様の立場となります。
実質的な被害者と示談をすることで、不起訴処分を目指します。
被害者は被疑者(公然わいせつをしてしまった人)に直接連絡先などを教えることはないため、弁護士が間に入ることで示談を進めていきます。
<罪を認めていない場合>
そもそも公然わいせつに当たるような行為はしていない場合などには、自白調書を取らせないことが重要です。
たとえば、性器を露出していないのに取り調べで自白を強要され、露出したと言ってしまうようなことは絶対に避けなければなりません。
また、実質的な被害者や目撃者などの証言に矛盾がないかなど検討し、客観的な証拠があれば被疑者に有利になる証拠を集めるなどの対応が必要になります。
まとめ
公然わいせつ罪は、その場で取り押さえられてしまうケースや、目撃者の証言などから後日逮捕されてしまうケースもあります。
逮捕後、勾留されてしまうと原則10日は拘束されてしまいます。
身柄が拘束されている場合には、弁護士に依頼することで早期に釈放してもらえるよう働きかけることができるので、公然わいせつ罪で任意で取り調べを受けた方、家族が公然わいせつ罪で逮捕されてしまった方は、なるべく早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。