勾留と拘留の共通点と違い

勾留(こうりゅう)とは逮捕と同様に「身柄に関する処分」の一種です。

他方で、拘留(こうりゅう)とは懲役、罰金などと同様に「刑罰」の一種です。

勾留は拘留と異なり「刑罰」ではありませんから、勾留されたからといって刑罰を科せられることが決まったわけではありません(勾留中は「無罪推定の原則」を受けます)。

このように勾留と拘留は、読み方や人の身体を拘束するという点では同じですが、意味は全く異なります。

ニュースなどでもよく混同して使われている場面が散見されますので注意が必要です。

勾留とは

勾留とは、逮捕よりも長い期間、身体拘束されることです。

勾留は逮捕と同様に身柄に関する処分の一種です。

勾留されるのは「勾留の理由」と「勾留の必要性」が認められる場合です。

勾留の理由は、①罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由、に加えて、②住居不定、③罪証隠滅のおそれ、④逃亡のおそれのいずれかが認められることをいいます(刑事訴訟法60条)。

他方で、勾留の必要性は実質的に勾留が必要かどうか、という観点から判断されます。

たとえば、初犯の人(前科を有しない人)が100円のお菓子を万引きしたとします。

この場合、仮に、①、③、④(勾留の理由)が認められると、通常、交通の必要性も認められ勾留される可能性は高まります。

他方で、「犯罪の軽重」という観点からすれば勾留するまでもない、とも考えられます。

勾留の必要性の判断に当たっては、上記の「犯罪の軽重」のほかにも、犯人の年齢・健康状態、犯罪の態様、犯人が置かれた境遇(例)認知症の親を介護している、就職・受験を控えている)など諸般の事情が考慮されます。

勾留の種類

勾留には「被疑者勾留」と「被告人勾留」があります。

被疑者とは、罪を犯したのではないかとの「疑い」をかけられて捜査機関による捜査を受けている人(=起訴される(刑事裁判にかけられる)前の人)のことです。

つまり、被疑者勾留とは逮捕後から起訴される前のまでの勾留のことをいいます。

被疑者勾留は逮捕が必ず先行します(これを逮捕前置主義といいます)。いきなり勾留されることはありません。

警察により逮捕された場合の勾留場所は「留置場(正確には留置施設)」、検察に逮捕された場合の勾留場所は「拘置所」となることが多いです。

留置場、拘置所とも基本的に犯人の逃走、罪証隠滅の防止等を目的とする施設ですが、留置場は警察が、拘置所は法務省が管理する施設という点で異なります。

逮捕後は「逮捕→送検→(検察官による)勾留請求→(裁判官による)勾留請求の許可・不許可の判断」という流れとなります。

裁判官が勾留請求を許可すると勾留されるというわけです。

被疑者勾留の期間は始め、検察官の勾留請求の日から数えて10日間です。

また、その後、期間を延長することにつきやむを得ない事由が認められる場合は最大10日間、期間を延長されることがあります(合計20日間)。

もっとも、期間の途中で釈放されることもあります。釈放されるのは勾留の要件である勾留の理由と勾留の必要性が欠けた場合です。

捜査機関である検察官の指揮で釈放される場合と不服申し立て(勾留(の裁判)に対する準抗告、勾留取消請求)が認められて釈放される場合があります。

不服申し立ては通常、(私選、国選の)弁護人が行います。

他方で、被告人とは捜査機関による捜査を経て起訴された後の人のことです。

もっとも、まだ刑事裁判で白黒決まったわけではありませんから、被疑者と同様に罪を犯したのではないかとの「疑い」をかけられているに過ぎません。

以上から、被告人勾留とは起訴された後の勾留のことをいいます。

被告人勾留は逮捕前置主義が適用されません。つまり、いきなり勾留されてしまうということです。

通常は「被疑者勾留→起訴→被告人勾留」という流れとなります。

被告人勾留の場所は、起訴前から「留置場」で拘束されていた場合は「留置場」のままか、あるいは「拘置所」に移送されます。

起訴前から「拘置所」で拘束されていた場合はそのまま「拘置所」での拘束が継続します。

なお、別の罪で再逮捕された場合は拘置所から留置所へ移送されることもあります。

被告人勾留の期間は、始め起訴された日から2か月です。その後は、一定の事由が認められる場合に限り、1か月ごとに期間が更新されることがあります。

もっとも、被疑者勾留と同様、期間の途中で釈放されることがあります。

被告人勾留期間中の釈放のことを保釈といいます。

保釈されるためには裁判官(あるいは裁判所)に対して保釈請求する必要があります。

保釈請求したからといって必ず保釈されるわけではありません。

保釈されるためには法律に規定された一定の事由に該当しないこと、仮に該当するとしても裁判所の裁量により保釈されるだけの理由があること、が必要です。

また、保釈許可決定を出した裁判所に保釈保証金を納付してはじめて保釈されます。

保釈請求も通常(私選、国選の)弁護人が行います。

拘留とは

拘留とは懲役、罰金などと同様に刑罰の一種です。

(刑の種類)
刑法第九条
死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。

拘留の具体的な内容は、1日以上30日未満の間、刑事施設(拘置所、刑務所)に収容されることです。

懲役と異なり、刑事施設での刑務作業を強要されるわけでありません。もっとも、拘留受刑者が刑務作業を希望した場合はこの限りではありません。

(拘留)
刑法第十六条
拘留は、一日以上三十日未満とし、刑事施設に拘置する。

拘留が規定されている罪は少ないです。

刑法の中では、公然わいせつ罪(刑法174条:6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)、暴行罪(刑法208条:2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料)、侮辱罪(刑法231条:拘留又は科料)に拘留が規定されていますが、専ら懲役、罰金が選択され、拘留が選択されることは稀です。

また、特別法では軽犯罪法(拘留又は科料)、酒に酔って公衆に迷惑をかける行為の防止等に関する法律(著しく粗野又は乱暴な言動をした罪:拘留又は科料)に拘留が規定されていますが、やはり拘留が選択されることは稀といってよいでしょう。

なお、法務省が公表している「検察統計 統計表」によると、以下のとおり、1年間で拘留を科される人は10人未満にとどまっています。

【1年間で拘留を科される人数】

2013年 4人
2014年 4人
2015年 5人
2016年 6人
2017年 5人
2018年 1人

まとめ

勾留と拘留の共通点と違いをまとめると以下のとおりとなります。

【共通点】
読み方(こうりゅう)、人の身体を拘束する

【相違点】
勾留は逮捕などと同様に身柄に関する処分の一種で刑罰ではない。拘留は懲役、罰金などと同様に刑罰の一種。

被疑者勾留の期間は最大で20日間、被告人勾留の期間ははじめ2か月、その後1か月ごとに更新される可能性がある(ただし、期間の途中で釈放されることもある)。

拘留の期間は1日以上30日未満の範囲で、裁判官が決める。

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