刑事事件の各段階における警察官、検察官の役割とは?

刑事事件では主に警察官、検察官が関与することはよく知られていると思います。

もっとも、警察官、検察官の役割については明確に区別できていない方も多いです。

そこで、今回は、警察官と検察官の役割について解説します。

初期段階

初期段階とは、いまだ捜査機関に事件が認知されていない段階のことです。

この初期段階で、警察官、検察官がどんな役割を果たすのかみていきましょう。

警察官の役割

警察官の役割は、世の中で起こっている出来事(社会的事象)を把握し、その出来事が犯罪に当たると認める(事件を認知した)ときに捜査を始めることです。

犯罪捜査規範の59条には次のように書かれています。

犯罪捜査規範
(端緒の把握の努力)
第五十九条
警察官は、新聞紙その他の出版物の記事、インターネットを利用して提供される情報、匿名の申告、風説その他広く社会の事象に注意するとともに、警ら、職務質問等の励行により、進んで捜査の端緒を得ることに努めなければならない。

捜査の端緒とは、世の中に起こっている出来事のことをいいます。

そして、刑事訴訟法には、その出来事を把握するための方法として、現行犯逮捕、告訴・告発、請求、自首、検視などに関する規定が、警察官職務執行法には職務質問に関する規定が置かれています(所持品検査については明文の規定はないものの、職務質問に付随する処分として許容されています)。

もっとも、警察官が世の中の出来事を把握するための方法は上記のみに限りません。

犯罪捜査規範にも規定されているとおり、警察官は新聞紙、出版物の記事、インターネット、匿名の申告、風説、他の犯罪の捜査(による共犯者、捜査関係者の供述)など、可能な限りあらゆる手段を使って捜査の端緒の把握に努めます。

検察官の役割

検察官も、警察官と同様に、世の中の出来事の把握に努め、その出来事が犯罪に当たると思料したときは捜査を始める役割を担っているのは同じです。

しかし、検察官が初期段階からこうした役割を担うのは、大規模な詐欺事件、経済事件や政治家が絡む汚職事件など、ごく限られた事件についてだけです。

多くの事件では、まず警察官が捜査の端緒をつかんで捜査を始め、事件の送致(送検)後に、検察官が捜査を始めるという流れが通常です。

もっとも、殺人、放火、強盗殺人などの重大事件、複雑事件などの場合は、送致前から検察官が警察官に対して捜査指揮を行って捜査に関与することもあります。

認知から送致(送検)までの段階

次に、捜査機関が事件を認知してから送致(送検)するまでの段階の警察官、検察官の役割についてみていきましょう。

警察官の役割

警察官は事件を認知した後は、捜査を始めます

捜査の内容は事件によって様々ですが、大きく客観証拠を集めるための捜査と主観捜査を集めるための捜査に分けることができます。

客観証拠とは、人を殺す際に使用されたナイフ、盗難被害にあった家に残された足跡痕・指掌紋、ひき逃げ現場に遺留された車両の破片・現場周辺の防犯ビデオ映像など、普遍的事実(足跡痕、指掌紋であれば「何者かに自宅に侵入されたこと」)を証明し得る証拠のことです。

近年の刑事事件では、こうした客観証拠がますます重要視される傾向にありますが、時が経てば経つほど紛失するおそれがありますから、警察官は、まずはこうした客観証拠の収集に力を入れます。

次に、主観証拠とは、被害者・目撃者、被疑者の供述など、人の体験、記憶に依拠した証拠のことです。

実際に事件を見た、経験した者による証拠ではあるものの、人の記憶に頼る部分が大きいため、客観証拠に比べ信用力が欠けることもあります。

そのため、警察官は客観証拠の収集を優先させ、証拠がそろった段階で、速やかに被害者・目撃者、被疑者の取調べなどを行います。

検察官の役割

検察官は、警察官が行う足跡痕・指掌紋の収集・鑑定、DNA型の対象物の収集・鑑定などの科学的捜査を行うことはできません。

なぜなら、そもそも検察官は科学的捜査を行う技能を身に着けているわけではありませんし、検察官が所属する検察庁自体に科学的捜査を行うための人員や設備が整っていないからです。

また、その他の証拠の収集についても、検察官が自ら認知活動を行う以外は警察官の捜査に委ねます

そして、事件の送致を受けた後、犯罪の立証のために足りないと判断した部分について、警察官に指揮して証拠を収集させるか、自ら証拠を収集することが基本となります。

送致(送検)から刑事処分までの段階

次に、送致(送検)から刑事処分までの段階における、警察官、検察官の役割についてみていきましょう。

警察官の役割

警察官は犯罪の捜査をした後は、一定の場合を除いて、捜査で集めた証拠書類や証拠物を検察官に送致しなければなりません。

なお、「一定の場合」とは、いわゆる「微罪処分」の場合です。

微罪処分とは、一定の要件を満たす軽微な事件について、警察官の注意のみで終わり、事件を検察庁へ送致されない処分のことです。

在宅事件の場合、時間的制約がないことから、警察官が十分な捜査を行ってから送致することができますので、基本的には、送致後に警察官が捜査を行うことはありません。

他方で、身柄事件の場合は、時間的制約があることから、送致後も引き続き捜査を行います。

検察官の役割

警察官から事件が送致された後は、いよいよ検察官の捜査が始まります

検察官も、警察官と同様に、被害者・目撃者の取調べ、被疑者の取調べを行いますし、必要と認めるときは、警察官に指揮するか、あるいは自ら証拠の収集に努めます。

また、警察官との決定的な違いは、裁判所に対する対応が必要な点です。

たとえば、身柄事件において、事件が警察官から送致され、身柄拘束が必要と判断した場合は裁判所に対して勾留請求を行います。

勾留請求のほかにも様々な権限が検察官に認められています。

そして、検察官は警察官から送致された証拠、自ら収集した証拠を基に刑事処分(起訴、不起訴など)を決めます。

起訴後の段階

最後に、起訴後の段階の、警察官、検察官の役割についてみていきましょう。

警察官の役割

起訴後の刑事裁判を遂行するのは検察官ですから、基本的に警察官が行うことはありません

もっとも、検察官から指揮された場合は、起訴後であっても取調べ等の捜査を行うことはあります。

検察官の役割

検察官は、刑事裁判の一方当事者として、刑事裁判を遂行していきます

刑事裁判では、まず、検察官に犯罪の立証責任がありますから、検察官が刑事裁判でやるべきことは自然と多くなります。

まとめ

刑事事件では、警察官、検察官がそれぞれの役割を担って、刑事手続きを適正に遂行することが求められます。

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