強盗事件の量刑はどのようになっているのか

強盗事件(下記の強盗に関する5つの罪)を犯せば、罪種によっては死刑もあり得るため、どのような量刑になるのか、心配になると思われます。

強盗事件の量刑は、統計上(平成29年)、どのようになっているのでしょうか。

強盗事件(強盗致死傷罪を除いたもの)では、実刑は7割近くで、執行猶予は3割ほどにすぎません。

強盗致傷罪では、当然とはいえ、実刑は8割以上で、酌量減軽が必要な執行猶予は2割にも達しません。

強盗致死罪(強盗殺人罪を含みます)は、無期が半数以上を占めています。

以下においては、強盗事件の内容、強盗事件(強盗致死傷罪を除いたもの)に関する罪の科刑状況、強盗致死傷罪(強盗殺人罪を含みます)の判決結果を概観した上、強盗事件の量刑はどのようになっているのかについて説明することとします。

強盗事件の内容

犯罪の成立

強盗罪

強盗罪は、暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取し、又は財産上不法の利益を得若しくは他人に得させることによって成立します(刑法236条)。

強盗予備罪

強盗予備罪は、強盗の罪を犯す目的をもって、その予備をすることによって成立します(刑法237条)。

事後強盗罪

事後強盗罪は、窃盗が、財物を得てその取返しを防ぎ、逮捕を免れ又は罪証を隠滅するために、暴行・脅迫を加えることによって成立します(刑法238条)。

昏睡強盗罪

昏睡強盗罪は、人を昏睡させてその反抗を抑圧し、財物を盗取することによって成立します(刑法239条)。

強盗致死傷罪

強盗致死傷罪は、強盗が人を負傷又は死亡させることによって成立します(刑法240条)。

刑罰

強盗罪、事後強盗罪及び昏睡強盗罪は5年以上の有期懲役に、強盗予備罪は2年以下の懲役に、強盗致死傷罪は無期又は6年以上の懲役に、強盗致死罪は死刑又は無期懲役に、それぞれ処せられます。

強盗事件(強盗致死傷罪を除いたもの)に関する罪の科刑状況

   
平成30年版犯罪白書(平成29年の統計。

以下「犯罪白書」といいます)によれば、地方裁判所における強盗事件(強盗致死傷罪を除いたもの)に関する罪の科刑状況は、下記の表のとおりです。

総数(316) 実刑(実刑率)
213(67.4%)(実刑で占める率)
執行猶予
(執行猶予率)
量刑 10年を超え
15年以下
7年を超え
10年以下
5年を超え
7年以下
3年を超え
5年以下
2年以上
3年以下
2年以上3年以下⇒102
1年以上2年未満⇒1
人数 3
(1.4%)
10
(4.7%)
33
(15.5%)
102
(47.9%)
65
(30.5%)
103
(32.6%)

強盗事件(強盗予備、強盗致死傷を除いたもの)の裁判で量刑が問題となる犯行態様には、主なものとして、⑴金融機関を狙った強盗、⑵連続路上強盗、⑶押し込み強盗、⑷タクシー強盗、⑸事後強盗、⑹昏睡強盗がありますが、これらの強盗の量刑はどのようになっているのでしょう。

⑴強盗

⑴の強盗は、金を狙った強固な動機に基づくもので、凶器の類(けん銃、模造けん銃、金属バット、包丁類等)を携え、人身に対する危害が及ぶ危険性も高く、計画的、大胆かつ悪質な犯行で、長期の実刑は免れないのです。

⑵強盗

⑵の強盗は、手っ取り早く金が得られるという動機から、通り魔的かつ無差別に、通行人を狙って、連続的に犯行を重ねる傾向にあり、凶器としては包丁や金属バットが用いられ、身体に危害が及ぶ危険性も高く、計画的、大胆かつ悪質な犯行で、実刑が相当とされます。

ただ、単独犯で、計画性のない、単発的で偶発的な犯行の場合には、被害の回復、被害弁償、被害者との示談成立が前提となりますが、執行猶予となるケースも考えられます。

⑶強盗

⑶の強盗は、他人の家に押し入って、家人に暴行を加えたり、脅しつけたりして、金品を奪い取るもので、計画性もうかがわれ、大胆かつ悪質な犯行で、実刑は免れないのです。

この種の強盗には、周りに人家のない一軒家に狙いをつけるものや、資産家を狙って大金を得ようとするものなど、動機ばかりでなく、犯行の方法・態様・手口が悪質なものが多いように思われます。

⑷強盗

⑷の強盗は、乗客を装い、強度の暴行・脅迫を加えて売上金を奪い取ったり、あるいは、移動手段としてタクシーを利用し、強度の暴行・脅迫を加えて料金を踏み倒すもので、一般的には計画性も高く、タクシーという密室内での犯行であるため、運転手に与える恐怖の度合いも強く、悪質な犯行として、実刑は免れないとされています。

ただ、タクシー料金の踏み倒しに当たる2項強盗には、酒の酔いも加わり、いわゆる虫の居所が悪くなって犯行に及ぶという、被告人の性格や日ごろの行状からは考えられない事案もあり、そのような事案については、被害弁償、被害者との示談成立がなされれば、執行猶予になるケースも考えられます。

⑸強盗

⑸の強盗は、主体が窃盗犯人ですから、窃盗そのものが偶発的な犯行、出来心による犯行、あるいは魔が差しての犯行という場合には、あらかじめ凶器を隠し持っていたなどの事情がない限り、暴行・脅迫の態様や一般情状を考慮し、被害金品の回復、被害弁償、被害者との示談成立がなされれば、執行猶予になるケースも考えられます。

⑹強盗

⑹の強盗は、睡眠薬・麻酔薬・アルコール飲料等の薬物を使用し、又は睡眠薬を施すなどして、人の意識作用に一時的又は継続的な障害を生じさせ、反抗できない状態に置いて犯行に及ぶもので、計画的で、悪質性が高いことから、実刑相当とされています。

強盗致死傷罪(強盗殺人罪を含みます)の判決結果

犯罪白書によれば、第1審(裁判員裁判)における強盗致死傷罪(強盗殺人罪を含みます)の判決結果は、下記の表のとおりです。

総数 実刑 無罪 無期 20年を超える 20年以下 15年以下 10年以下 7年以下 5年以下 3年以下 有罪の実刑率
実刑 執行猶予
(有罪の執行猶予率)
強盗致傷 184 152 1 1
(0.7%)
9
(5.9%)
36
(23.7%)
50
(32.9%)
46
(30.3%)
10
(6.6%)
31
(16.9%)
83.1%
強盗致死 21 20 1 13
(65%)
2
(10%)
1
(5%)
1
(5%)
2
(10%)
1
(5%)
100%

 
強盗致死傷罪(強盗殺人罪を含みます)の量刑では、犯情として、行為態様(残虐性、執拗性、危険性など)、結果(死亡者数、傷害者数やその傷害の程度など)、動機、凶器の有無・種類(刃物類、ひも・ロープ類、棒状の凶器、銃、凶器なしなど)、共犯関係(単独犯、共犯:主導的立場、共犯:従属的立場、共犯:幇助犯など)、計画性が主に重視されます。

まとめ

強盗事件(強盗致死傷罪を除いたもの)では、強盗予備罪を除き、執行猶予となるためには、酌量減軽が必要ですので、統計上、実刑は7割近く、執行猶予は3割ほどです。

強盗致傷罪では、当然とはいえ、実刑は8割以上で、酌量減軽が必要な執行猶予は2割にも達しません。

強盗致死罪(強盗殺人罪を含みます)は、無期が半数以上を占めています。

強盗事件では、法定刑の幅が広いため、被告人に有利な量刑が得られるためには、法律のプロである弁護士の弁護、そして協力が欠かせません。

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