暴行罪ではどのように事件処理されているのか

暴行罪を犯した場合、最終的に、起訴あるいは不起訴となるのか、心配になることと思われます。

では、暴行罪では、どのように事件処理されているのでしょうか。

暴行罪を犯した場合、統計上(平成29年)、逮捕率は4割余にとどまり、勾留は全体の4分の1ほどとなっています。

そして、公判請求と略式請求を含む起訴率も、せいぜい3割にすぎず、不起訴率は約7割で、その中でも起訴猶予の占める割合が大変高いのです。

以下においては、暴行罪の内容、暴行罪で逮捕された後の流れ、暴行罪を犯した場合の身柄状況、暴行罪を犯した場合の起訴不起訴の処分状況について概観した上、暴行罪ではどのように事件処理されているのかについて説明することとします。

暴行罪の内容

犯罪の成立

暴行罪は、人に暴行を加えることによって成立します(刑法208条)。

暴行の意義

暴行罪における「暴行」は、人の身体に対する有形力(物理力)の行使と解されています。

したがって、殴る、蹴るなどの直接的な暴力の行使だけではなく、音声、風力、水力、光、熱、冷気、電気などによる攻撃もこれに該当することになります。

そして、判例では、被害者に対して日本刀を突き付ける行為、狭い室内で日本刀の抜き身を振り回す行為、被害者の数歩手前を狙って投石する行為、高速道路上において並進中の自動車に幅寄せ運転する行為などの間接的な有形力の行使であっても、暴行罪における暴行に当たると判断されています。

刑罰

暴行罪は、2年以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留又は科料に処せられます。

暴行罪で逮捕された後の流れ

被疑者は、逮捕されますと、最大72時間自由を制限されます。

そして、通常は、逮捕から48時間以内に検察官に送致され、検察官は、被疑者を受け取ってから24時間以内に、裁判官に対し、より長期の身体拘束を求める勾留の請求をします。

裁判官は、検察官から勾留の請求がありますと、勾留質問を行ってその当否を審査しますが、罪を犯した疑いがあり、住居不定、罪証隠滅のおそれ又は逃亡のおそれのいずれかに当たるときは、被疑者の勾留を認めます。

なお、勾留期間は原則10日間ですが、事案が複雑困難、共犯事件、証拠収集が遅延又は困難、釈放すれば被疑者が罪証隠滅を図るおそれがあるなど、やむを得ない事情がある場合には、更に10日以内の延長が認められることもあります。

さらに、起訴された場合には、釈放され、又は保釈が認められない限り、身体の拘束が続くことになります。

暴行罪を犯した場合の身柄状況

平成30年版犯罪白書(平成29年の統計。以下「犯罪白書」といいます)によれば、暴行罪の身柄状況は下記のとおりです。

(逮捕関係)

総数(A) 逮捕されない者 逮捕後釈放 身柄付送致(B) 検察庁で逮捕(C) 身柄率(B+C)÷A
16124 8,941(55.5%) 1,432(8.9%) 5,746(35.6%) 5(0.03%) -35.7%

(勾留関係)

認容(D) 却下(E) 勾留請求率(D+E)÷(B+C)
3917 454 76%

上記の数字からすれば、逮捕率は44.5%(7,185人)で、逮捕後釈放されている者もあって、総数(16,124人)のうち、勾留率は24.3%(3,917人)にすぎません。

このように見てきますと、逮捕された者のうち45.5%の人は勾留されずに釈放されているのであり、しかも、逮捕されない者は55.5%に上っているのです。

法文上、逮捕されないのは、明らかに逮捕の必要がないと認められるとき(刑訴法199条2項ただし書)ですが、刑訴規則143条の3によりますと、被疑者に逃亡のおそれや罪証隠滅のおそれがない場合がこれに当たることになります。

では、暴行罪で逮捕されないのは、具体的にどのような場合が考えられるのでしょう。

逮捕されない一般的な例を参考にして考えてみますと、犯行を認めている、犯行態様が悪質でない、特段の前科がない、定職に就いている、示談が成立しているかその見込みが確実である、被害届を提出していない、被害届を取り下げている、自首している、処罰を求める意思がないか緩和している、犯行を裏付ける証拠がないか不十分であるなど、これらの一つあるいは複数の要因がある場合には、逮捕されない可能性があるといえます。

暴行罪を犯した場合の起訴不起訴の処分状況

2017年検察統計年報(平成29年の統計)によれば、検察庁が暴行罪で送致を受けた者の起訴不起訴の処分状況は、下記の表のとおりです。

総数 起訴
(起訴率)
(起訴で占める率) 不起訴
(不起訴率)
(不起訴で占める率)
公判請求 略式請求 起訴猶予 その他
15000 4.337
(28.9%)
691
(15.9%)
3,646
(84.1%)
10,663
(71.1%)
9,302
(87.2%)
1,361
(12.8%)

上記の数字からすれば、不起訴率が高く、その中でも起訴猶予の占める割合が大変高くなっていることが分かります。

起訴猶予は、検察官が、被疑者に犯罪の嫌疑がある場合において、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときにする処分になります。

暴行罪の場合、もともと、被害者に怪我を負わすまでに至っておらず、暴行にとどまっているため、被害者と示談が成立している、被害者の処罰感情が緩和している、被疑者に特段の前科がない、犯行を認めていて反省している、犯行態様が悪質でない、という場合が多いことから、早期に社会復帰させ、社会的な不利益を最小限にとどめる必要性もあり、起訴猶予となる割合が高くなっているものと思われます。

まとめ

暴行罪を犯した場合、逮捕勾留されるのか、起訴されてしまうのかと心配になることでしょう。

暴行罪では、あくまでも統計上とはいえ、身体拘束が必ずしも原則ではなく、また、公判請求や略式請求を含む起訴よりも、むしろ不起訴の方が高い割合となっているのです。

とはいえ、起訴もそれなりにあるわけで、検察官は、被害者との間で示談が成立した場合に、不起訴(起訴猶予)で終わらせる一方、起訴すべき事案であれば、公判請求ではなく略式請求にとどめたりします。

しかし、暴行を受けた被害者が、すんなり示談に応じてくれるとは限りません。

そこは、法律のプロである弁護士に委ねるのが望ましいことになります。

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