逮捕状とは?逮捕状の請求・発行や取り下げ等について解説

ある犯罪の疑いをかけられている人がいた場合、誰でもいつでも捕まえられるわけではありません。疑いをかけられている人が逃亡、証拠を隠滅しようとする場合に、それらを阻止するために行うのが逮捕です。

 

人を逮捕するためには法律で定められている条件を満たす必要があり、原則として「逮捕状」が必要です。

 

この記事では、逮捕状について解説します。

 

逮捕状の概要

そもそも逮捕状とはどのようなものでしょうか。ここでは、逮捕状の基本的な知識とよくあるQ&Aなどを紹介していきます。

 

逮捕状とは?

逮捕状(逮捕令状)とは、被疑者を通常逮捕する際に、捜査機関の請求を受けて裁判所が発付する書面です。つまり、捜査機関による逮捕を裁判所が許可したことを証明する書面です。

 

身柄拘束の根拠

逮捕は人の意思に反して身柄を拘束し、身体等の自由を奪うという点で、人権を大きく制約します。そのため憲法では刑事手続きについて特に適正であることを求めています。

 

適正な手続きを保障するため、日本では令状主義(事前に裁判官が根拠を審査する原則)が採用されています。逮捕の際に逮捕状が要求されるのは、このためです。

 

つまり、捜査機関が勝手に誰かの身体の自由を奪って拘束できないようにするために、逮捕状を出してよいかを事前に裁判所が審査します。

 

逮捕状請求権者とは

逮捕状を裁判所に請求できる人を逮捕状請求権者といいます。逮捕を請求できるのは、被害者ではなく、「検察官」と「一定階級以上の警察官」です。警察官の場合、警部以上の階級の者でないと逮捕状を請求できません。

 

なお、逮捕状は簡単に発付されるわけではありません。

逮捕状の請求がなされると、裁判官が逮捕状を出すか否かを審査しますが、逮捕は人の身体の自由を奪うものなので、非常に厳しい審査が要求されています。請求した逮捕状の却下も珍しくありません。

 

審査にあたり、裁判官は請求者の出頭を求めて陳述を聴きます。または書類その他のものの提示を求めるなど、取調べも出来ます。

 

逮捕状の発付の要件は2つあります。

 

  • 1.「逮捕の理由」の有無
  • 2.「逮捕の必要性」の有無

 

逮捕の理由は、憲法第33条が関係しています。憲法33条には、「何人も・・・理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない」とあります。さらに刑事訴訟法第199条では、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある」ことが必要とされています。

 

つまり、逮捕の理由とは、「犯罪を行った」という嫌疑をかけるに足りる客観的で合理的な根拠のことです。

 

逮捕の必要性については、刑事訴訟規則第143条の3に、「被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない」と記載されています。

 

言い換えると、「被疑者が逃亡するおそれがある場合」かつ「罪証隠滅のおそれがある場合」に、逮捕の必要性があると判断されます。

 

逮捕の目的は、逃亡や罪証隠滅の防止です。

 

逮捕とは?

逮捕には以下の3つの種類があります。

 

通常逮捕

通常逮捕とは、「犯罪を行ったと疑うに足りる相当の理由(逮捕の理由)」があり、「逮捕の必要性」が認められる場合に、逮捕状があることを前提になされる逮捕です。これが逮捕の原則の形です。

 

現行犯逮捕

犯人が目の前で犯罪を行っているときにされる逮捕です。「犯罪と犯人が明白」であり、「逮捕の必要性」があること、「犯行から時間が経っていないこと」が現行犯逮捕の要件です。

 

緊急逮捕

「死刑又は無期懲役」・「長期3年以上の懲役か禁固にあたる罪」についての犯人を逮捕する場合で、逮捕状を請求する時間がない場合に、逮捕状なしに逮捕できます。これを緊急逮捕といいます。

 

緊急逮捕の場合、逮捕状は被疑者を逮捕した後直ちに裁判官に発付を求めなければなりません。

 

裁判官による事後の審査によって逮捕状が発付されない場合は、すぐに釈放しなければなりません。

 

逮捕の原則は、逮捕状にもとづいていることです。

 

逮捕状記載事項

刑事訴訟法第200条で、逮捕状に記載しなければならない事項が定められています。それは以下の通りです。

 

  • 被疑者を特定する事項(氏名、年齢、職業、住所)
  • 犯罪を特定する事項(逮捕の理由(罪名)、被疑事実の要旨)
  • 連行する警察署
  • 逮捕状の有効期間
  • 有効期間を過ぎた逮捕状では逮捕できず、逮捕状を返還しなければならない旨

 

誰をどういう犯罪容疑で逮捕し、どこの警察署に連れていくのか等が一目で明らかになるように記載しなければなりません。

 

逮捕状の有効期間

逮捕状には有効期間があります。逮捕状の有効期間は発行日の翌日から原則7日間です。この期間を過ぎると逮捕状は失効しますので、裁判所に返さなければなりません。

 

逮捕状の更新

被疑者が逃亡していて有効期間内に逮捕できない場合には、改めて裁判所に逮捕状の発付を請求します。

 

2回目の逮捕状では有効期間が1カ月、3回目以降は3カ月に延長されることが多いです。

 

なお、被疑者が国外逃亡している場合は、有効期間が6カ月認められることもあります。

 

逮捕状請求~執行までの流れ

逮捕状を裁判所に請求してから実際に逮捕が執行されるまでの流れをご説明します。

 

逮捕状請求

逮捕状は逮捕状請求権者が、逮捕状請求書という書面を裁判所に提出することによって発付されます。

 

逮捕状の請求は、一定の証拠に基づく必要があります。そのため請求にあたっては逮捕の理由や必要性を裏付ける資料を提出します。

 

裁判官は、場合によっては逮捕状請求権者に出頭を求めて、逮捕の必要性等を口頭で説明させたり、取調べを行ったりすることもあります。

 

逮捕状請求の取下げ

逮捕状請求は取り下げもできます。裁判官は、逮捕状請求権者から逮捕の理由や必要性について聞き取りますが、逮捕の理由や必要性がないと判断した場合は、請求者に対し、「ちょっと難しいです」と心証を開示することがあります。

 

逮捕状請求権者も裁判官と話をするなかで、「逮捕状を発付してもらうのは無理かもしれない」と判断することがあります。

 

このような場合には、自発的に逮捕状の請求の取り下げができます。

 

逮捕状請求の却下

裁判官から「無理かもしれない」と心証を開示されても自発的に取り下げない場合、あるいは逮捕の理由や必要性が無いと判断した裁判官は逮捕状の請求を却下します。

 

逮捕状の発付

逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕状を発付するかどうかの審査をおこない、逮捕の理由や必要性があると認めた場合に逮捕状を発付します。

 

逮捕状の執行・緊急執行

逮捕状によって被疑者を逮捕するには、逮捕状を被疑者に示さなければなりません。容疑の概要がわかる程度に提示すれば足り、読ませる必要はありません。

 

提示のタイミングは逮捕前が原則ですが、被疑者が抵抗・逃亡時には、逮捕と同時でも良いとされています。

 

緊急執行とは、1個の逮捕状で全国的に指名手配されている場合等で、被疑者をみつけた捜査員が逮捕状を持っていない場合には、次の2つの事実を告げれば逮捕状を示さないでも逮捕できます。

 

  • 逮捕状が出ていること
  • 被疑事実の要旨

 

これを逮捕状の緊急執行といいます。この場合でも、逮捕状は逮捕後できるだけ速やかに提示しなければなりません。

 

逮捕状についてよくあるQ&A

ここからは逮捕状についてよくある疑問にお答えします。

 

逮捕状と令状の違いは?

令状とは、警察官や検察官などの捜査機関に対して、裁判官が方法や範囲を定めて、捜査の実行を認める許可状のことです。

 

逮捕状の場合には、「被疑者〇〇を××の罪で身柄の拘束を許可する」という許可状で、令状の中の1種です。令状には逮捕状のほかに、捜索差押令状、勾留令状などがあります。

 

逮捕状が発付されると必ず逮捕されるのか?

逮捕状が発付されると必ず逮捕されるのでしょうか?答えは「否」です。逮捕状は、請求から発付まである程度時間がかかります。その間に事情が変化し、逮捕の必要性が無くなることもあります。その場合には逮捕せず、在宅のまま捜査します。

 

なお、この場合、逮捕状は有効期間内であっても、直ちに裁判所に返還しなければなりません。

 

逮捕されたら弁護士に相談するべきか?

逮捕後は、被疑者は外部と自由に連絡を取れません。また、少なくとも48時間は家族との面会も認められません。

 

この間に被疑者と面会できるのは、弁護士だけです。逮捕されたらすぐに弁護士に相談することが重要です。

 

突然逮捕され、警察署で取調べが行われ、何を話せばよいのかわからず、警察に促されるままに自分に不利益な供述をしてしまう可能性もあります。

 

警察が作成した供述調書に一度署名指印してしまうと、証拠となり、後から訂正はできません。

 

弁護士を呼べば、現在の状況がわかるだけでなく、以下の点についてアドバイスをくれます。

 

  • 逮捕直後の取調べの対応方法
  • 意に沿わない内容の供述調書が作成されそうな時の対処方法
  • 今後の見通し

 

もし不当に身柄拘束をされている場合には、弁護士は逮捕の必要性が無いことなどを主張し、身柄を解放するためにあらゆる法的手段を用いて働きかけをします。

 

また、被害者がいる場合には、被害者との示談交渉を進めるなどを通じて、処分の軽減や猶予を求めます。

 

逮捕されてしまった場合には、その後最大72時間、逮捕による身柄拘束が続きます。なお、逮捕期間満了後に釈放されずに勾留請求がされた場合、勾留による身柄拘束期間は最初に10日間、さらに最大10日間の延長が認められています。

 

最長で23日間身柄を拘束されてしまうと、会社に勤めている人はクビにされてもおかしくありません。

 

逮捕時にはなるべく早く弁護士に依頼し、早期に効果的な弁護活動をしてもらいましょう。

 

まとめ

逮捕状とはどのようなものであるか、逮捕状の請求・発付から執行までの一般的な流れを解説しました。ご参考になれましたら幸いです。

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